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その他 (国内) 完全準同型暗号下での差分プライバシ適用-レンジクエリを対象として-

牛山 翔二郎 (早稲田大学), 髙橋 翼, 工藤 雅士 (早稲田大学), 井上 紘太朗 (早稲田大学), 鈴木 拓也 (早稲田大学), 山名 早人 (早稲田大学)

第13回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(第19回日本データベース学会年次大会) (DEIM 2021)

2021.3.1

近年,データベースに対する問い合わせ応答システムとして,クラウドコンピューティングの活用が注目される. 複数のデータ提供者が所有するパーソナルデータをクラウドサーバへ保存し,クラウドサーバがデータ解析者の問い合わせに対 して応答を行うシステムを想定する.ここで,データ提供者が所有するデータが,クラウドサーバとデータ解析者に漏洩する問 題が存在する.準同型暗号を使用することで,クラウドサーバに対して,データ提供者が所有するデータを秘匿することができ る.また,差分プライバシを使用することで,データ解析者に対して,データ提供者が所有するデータのプライバシを保護する ことができる.これら 2 つを同時に実現する方法として,従来,準同型暗号と差分プライバシを組み合わせるプライバシ保護手 法が提案されている.しかし,準同型暗号と差分プライバシを組み合わせるプライバシ保護手法には,準同型暗号に起因する応 答速度低下と,差分プライバシに起因する応答回数制限の問題がある.本稿では,これらの問題を解決するため,解析対象デー タに対して暗号文上で差分プライバシを事前に適用した後,復号し,要約データとして保存する.そして,平文で保存される要 約データに対して,問い合わせを行う.これにより,問い合わせ応答の速度を向上させる.また,要約構成時に差分プライバシ を保証したデータを用いて,全ての問い合わせに応答することで応答回数制限の問題を解決する.提案手法は,データ解析者の 問い合わせを高速化する一方で,要約の構成には時間がかかる.完全準同型暗号ライブラリ TFHE を用いて提案システムを構築 し,要約構成にかかる時間を測定した結果,16 ビットで表現される 6 個のデータに対して約 2.5 時間が必要となることが分か った.

Paper : 完全準同型暗号下での差分プライバシ適用-レンジクエリを対象として-新しいタブまたはウィンドウで開く (外部サイト)