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カンファレンス (国内) 金融掲示板の投稿に対する個人投資家の投資スタンス知覚とLLMによる再現性評価

上田 健太郎 (奈良先端科学技術大学院大学), 細川 蓮 (奈良先端科学技術大学院大学), 諏訪 博彦 (奈良先端科学技術大学院大学), 坪内 孝太, 小川 祐樹 (東京都市大学), 梅原 英一 (新潟国際情報大学), 安本 慶一 (奈良先端科学技術大学院大学)

第5回計算社会科学会大会 (CSSJ2026)

2026.3.4

個人投資家は、株式掲示板などの金融ソーシャルメディア上の投稿を手がかりに、その投稿が示唆する売買スタンス(買い・売りの意向)を推し量り、意思決定の参考にする。大規模言語モデルは、一定の精度で人間の解釈分布を再現することが知られているが、金融掲示板投稿のような、皮肉、ポジショントーク、スラングが頻出し、投稿の含意が多義的になりやすいテキストを読んだ個人投資家の知覚分布をどの程度再現できるかは十分に検証されていない。個人投資家の知覚分布を再現することができれば、金融市場分析のための大きな材料になりうる。本研究では、日本の株式掲示板の投稿を対象に、各投稿について個人投資家100名が付与した知覚ラベルの分布を参照分布として構築した。言語・ドメイン・規模の異なる18種類のLLMに対し、同一投稿から6ラベルに対する確率分布を得て、人間の参照分布との分布レベルの整合性を評価した。実験の結果、GPTやGeminiのような大規模なパラメータのモデルでさえ、人間の個人投資家の投資スタンス知覚分布を再現する能力が十分でないことが明らかになった。また、日本語・金融に特化したモデルは、はるかにパラメータの大きな汎用モデルよりも、人間分布への整合性が高いケースが観察された。